「し……祠稀……お前今、どっから……」
ヒカリのそばに何人かの足があったけど、その先を見上げることはない。
俺はなんだか思うように動かない足を引き摺って、ヒカリに右手を伸ばした。
「ヒカリ、……ヒカリ、……ヒカ」
ぼやける視界の中で、ヒカリの服を掴んで引っ張る。
そばに寄ることはできても、上半身すら起こすことができない。それでもヒカリの服を引っ張って、俺の頬に何かが伝った時、僅かにヒカリが首を動かした。
「ヒカリ」
返事はなかった。
ただ、笑顔だけを見せて、俺に伸ばしてくれたであろう手が、ゴトッと、力を失ったように地面に落ちて。
「……ヒカリ?」
もう少しそばに行こうと、左手で体を支えようとしたのに。ぬるっとした感触に、俺はヒカリから地面に視線を移した。
―――赤。
真っ赤な水溜りの中に、俺がいた。止めどなく溢れる鮮血の中心に、ヒカリがいた。
赤、赤、赤。
俺の服も、俺の手も、ヒカリの血に染まっていた。
「あ……ヒ……カ、リ」
見えない。ヒカリが。
どこ…、どこに。
どこにいるんだよ、ヒカリ。



