僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「し……祠稀……お前今、どっから……」


ヒカリのそばに何人かの足があったけど、その先を見上げることはない。


俺はなんだか思うように動かない足を引き摺って、ヒカリに右手を伸ばした。


「ヒカリ、……ヒカリ、……ヒカ」


ぼやける視界の中で、ヒカリの服を掴んで引っ張る。


そばに寄ることはできても、上半身すら起こすことができない。それでもヒカリの服を引っ張って、俺の頬に何かが伝った時、僅かにヒカリが首を動かした。


「ヒカリ」



返事はなかった。

ただ、笑顔だけを見せて、俺に伸ばしてくれたであろう手が、ゴトッと、力を失ったように地面に落ちて。



「……ヒカリ?」


もう少しそばに行こうと、左手で体を支えようとしたのに。ぬるっとした感触に、俺はヒカリから地面に視線を移した。


―――赤。


真っ赤な水溜りの中に、俺がいた。止めどなく溢れる鮮血の中心に、ヒカリがいた。


赤、赤、赤。


俺の服も、俺の手も、ヒカリの血に染まっていた。


「あ……ヒ……カ、リ」


見えない。ヒカリが。


どこ…、どこに。



どこにいるんだよ、ヒカリ。