僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「きみ、大丈夫!?」


いとも簡単に体を起き上がらせられ、俺は目の前の警官を見つめた。頭には、入って来なかったけれど。


「……ヒカリは?」

「え……?」

「ああいいから、早く車乗せちゃって。ちょっと薬物検査したほうがいいかもね」

「あ、はい! ほら、キミ! 立って!」


無理やり腕を引っ張られて、足元から吹いた風に立ち止まった。ドクンッと、血が体中を廻る。



見下ろした先に、ヒカリが“いた”。



「ああ見ないほうがいいよっ!」


警官に手首を引っ張られても、俺は動けなかった。


……は、……は?

何……ここ、屋上。


なんで、ヒカリが。


ビルの下に。



「ほらっ! 危ないから、行こう」


強く引っ張られ、俺はよろりと足を進めた。


……下に、なんで……。

……落ち、……落ちた?


「ヒカ……リ」

「え!? ちょっ……!」



―――死ぬとか、死なないとか。そんな言葉すら頭にはなかった。


ただ一心不乱に、ヒカリを求めた。1秒でも早く、ヒカリのそばに行きたくて。


ぽっかりと、奇妙に空いた暗闇に身を投げ出すことすら、厭わずに。


なんの迷いもなく飛び降りた。


地面に落ちたというよりも、木々にぶつかった気がするけれど。体中痛いし、視界も回ってたけど。目の前に、横たわるヒカリがいるのは分かった。