僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「困ったねぇ……もしかして、ドラッグきめちゃってる? それとも、弱味でも握られてるのかな」

「違うっ!!」

「ああ……それとも威光っていうのは、テロ組織か何かなのかな? もう早めに摘んでたほうがいいみたいだね」


―――頭が、痛い。


俺はただ、ヒカリを守りたいのに。


何か口にするたび、天野がヒカリの嘘の罪をでっち上げる。いくらでも、罪を作ってやると言わんばかりに。


「……その銃で、俺を殺します? それで、全てが消えるとでも思いますか」

「……それは、他に仲間がいると言ってるんですかね? 先ほどは、全員脱退したとか言ってましたが」

「……ヒカリ……」


困惑してる俺と違って、ヒカリは冷静そのもだった。口を噤むわけでも、表情を崩すわけでもない。


暗澹とするこの場所で、ただ月明りに照らされて、立っていた。


こんな状況で、思わず綺麗だと見惚れてしまうほどに、凛々たる姿。


「うやむやにするなんて、もう無理ですよ。天野さん」

「……ええ、無理でしょうね。あなたの罪、は」


――――嫌だ。


「俺が消えたところで、何も変わりませんよ」

「とりあえずじゃあ、リーダーが先に消えていただきましょうか」


失いたくない。


「あっ!」

「やめろ!!」