「困ったねぇ……もしかして、ドラッグきめちゃってる? それとも、弱味でも握られてるのかな」
「違うっ!!」
「ああ……それとも威光っていうのは、テロ組織か何かなのかな? もう早めに摘んでたほうがいいみたいだね」
―――頭が、痛い。
俺はただ、ヒカリを守りたいのに。
何か口にするたび、天野がヒカリの嘘の罪をでっち上げる。いくらでも、罪を作ってやると言わんばかりに。
「……その銃で、俺を殺します? それで、全てが消えるとでも思いますか」
「……それは、他に仲間がいると言ってるんですかね? 先ほどは、全員脱退したとか言ってましたが」
「……ヒカリ……」
困惑してる俺と違って、ヒカリは冷静そのもだった。口を噤むわけでも、表情を崩すわけでもない。
暗澹とするこの場所で、ただ月明りに照らされて、立っていた。
こんな状況で、思わず綺麗だと見惚れてしまうほどに、凛々たる姿。
「うやむやにするなんて、もう無理ですよ。天野さん」
「……ええ、無理でしょうね。あなたの罪、は」
――――嫌だ。
「俺が消えたところで、何も変わりませんよ」
「とりあえずじゃあ、リーダーが先に消えていただきましょうか」
失いたくない。
「あっ!」
「やめろ!!」



