僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「……っにしてんだよオイ!!」


再び暴れた俺の両腕を、警官が離しまいと力を込めてくる。


体だけが前へ前へと進むのに、両腕が追いついて来ない。


「離せっつってんだろ!!」

「ダメだよ祠稀くん」


誘拐されたと思ってるんだろう警官が、俺を困惑した表情で見てくるのに対し、天野は嘘くさい笑顔を向けてくる。


「大人しくしてなきゃ、ダメ、でしょう」


そうしなければ撃つ。


拳銃を構える天野が、そう言ってる気がした。いや、そう言ってるんだ。


ヒカリを撃つことなんてわけないと。


なんで、なんで、こんなことに。


「その子、連れてって。あと、彼も連行。誘拐犯のくせに俺を脅すなんて、いい度胸してるよね」

「……っ、俺は誘拐されたんじゃねぇ!! 親父に……っ」

「祠稀!!」


引っ張られたことに焦って口にしようとした言葉を、ヒカリに遮られた。


まるで同意するように、天野が拳銃をヒカリに向けたまま、いらない言葉を口にする。