「……っにしてんだよオイ!!」
再び暴れた俺の両腕を、警官が離しまいと力を込めてくる。
体だけが前へ前へと進むのに、両腕が追いついて来ない。
「離せっつってんだろ!!」
「ダメだよ祠稀くん」
誘拐されたと思ってるんだろう警官が、俺を困惑した表情で見てくるのに対し、天野は嘘くさい笑顔を向けてくる。
「大人しくしてなきゃ、ダメ、でしょう」
そうしなければ撃つ。
拳銃を構える天野が、そう言ってる気がした。いや、そう言ってるんだ。
ヒカリを撃つことなんてわけないと。
なんで、なんで、こんなことに。
「その子、連れてって。あと、彼も連行。誘拐犯のくせに俺を脅すなんて、いい度胸してるよね」
「……っ、俺は誘拐されたんじゃねぇ!! 親父に……っ」
「祠稀!!」
引っ張られたことに焦って口にしようとした言葉を、ヒカリに遮られた。
まるで同意するように、天野が拳銃をヒカリに向けたまま、いらない言葉を口にする。



