僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「親父に金でも積まれたのか!!」


クソ、クソ、クソッ!!

なんで、なんで、なんでっ!!


来てた。来てた、コイツ。ウチに。


親父の友達だとかで、家に何度か来てたことを知ってる。親父が裏カジノをしてるなんて、知らなかった。コイツが警察だなんて、知らなかった。


でも知ってる。天野の顔だけは、見覚えがある。


「答えろよ!! 金もらったんだろ!?」


怒りなのか恐怖なのか哀しみなのか。頭に血が上ってるのか、体温が下がってるのか。


もう、分からない。

体中が震えて、涙が溢れて。


ヒカリがとても悲しそうに俺を見ていることも。天野が黙って口の端を上げていることも。俺には、絶望しか与えない。


「――さて、祠稀くんも見つかったことだ。もう話はお終いでいいかな?」


天野は俺の質問にはいっさい答えずに、ヒカリに向き直った。当の本人も、俺に言葉をかけるでもなく、天野を見つめ返す。


「……終わってませんよ。祠稀を帰すわけにはいかない。あなたも、悪事がバレるのは困るでしょう」

「……困りましたねぇ。私に交換条件を出すなんて、ねぇ?」


天野がそう笑いながら俺に振り向いた時だった。後ろの階段から、バタバタッと煩い足音が聞こえたのは。


慌てて振り向いた刹那、複数の手が目の先にあって、俺の体はふたりの警官に押さえられた。


「っ離せよ!! なんだよ!!」

「祠稀っ!」


――ジャキン、という聞き慣れない音に、暴れていた俺は止まって、警官も止まる。


恐る恐る天野に視線を移すと、その手に持たれた黒光りするものに、目を見開いた。