僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「祠稀って、鳥みたい」

「……なんだそりゃ」


彗は俺から視線を外し、想像するように目を伏せる。


「……どこにでも行けそうだから。雨の日でも嵐の日でも、飛んでいけそう」


どこまでも自由に。

そう呟いて彗は瞼を閉じた。


返す言葉が浮かばない俺は、行き場所を失った感情を掻き消すのに必死だった。


鳥みたい? 俺が?


「もっとかっこいいのに例えろよ」


ふっと鼻で笑えたけれど、本当は手に持つ煙草を投げ捨てたくなった。



──どこが。

俺のどこが、自由に飛んでいけそうなんだ。


そんなのは、希望だ。


俺が羽を持ってるとするなら、柔らかい、しなやかな羽じゃない。


傷だらけで、血だらけで。それでも飛ぼうとする哀れな羽だ。


自分の弱さを隠すように、真っ黒な羽をして。決して落ちまいと、折れることすら許されない羽。


それのどこが、自由な鳥なんだ。


「……祠稀」


ハッとすると、今にも落ちそうな灰が目に入った。それから、決心したような彗の強い眼差し。


その見えない決心ですら、今の俺は笑い飛ばせる気がした。