「俺も詳しくは知らねぇけど、裏カジノとか運営してるとかって。それに連動させて、闇金もどうとか……警察がだぜ? とんでもねぇよな」
ろくでもねぇの間違いだろと思いながら、視力は変わらないのに目を細めて、屋上を見上げ続ける。
フェンスに寄りかかってたヒカリが不意に消えて、言いようのない不安に襲われた。
「……ヒカリ……」
大丈夫なのか。
本当に、大丈夫なのかよ。
何か、何かが、危ない気がするのは、俺だけか?
親父が忠告を無視して、警察なんかに届けたのが、俺に恐怖を植え付けたんだろうか。
でも、ヒカリが守ると言ってくれた。ヒカリなら、大丈夫だと思うのに。
なんだ、コレ。この、気持ち。
天野が裏カジノと並行して闇金もやってて、いくらヒカリだからって、危なくないはずがないと、思ってるから?
違う。親父の執着っぷりに、まだビビってるだけじゃないのか、俺は。
……違う、違う。何か忘れてないか――……。
「祠稀? おい……顔、真っ青だぞ」
その声に、見るべきなのはリュウだったのに。視界の端にリュウがいるだけで、俺の視界の中心に移ったのは、黒いセダンだった。
その瞬間、背筋が凍って。
鋭いナイフにでも一突きされたみたいに、心臓が止まったかと思った。



