僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「祠稀、大丈夫。ちゃんと歩いて。真っすぐ、前だけ見て。強く、進んで。祠稀には、そういう生き方をしてほしいんだ」


聞こえてるのに、意識が定かではなくて。言いたいことは山ほどあるはずなのに、言葉がうまく出なくて。


どうしよう、どうすればいいんだよ。


そう思ってる間に、裏口のドアにリュウが立ってるのが見えた。


「祠稀……大好きだよ。俺も、リュウもユナも、みんな、君のことが」


口を開きかけた瞬間、トンッと肩を押された。同時に、リュウが俺を受け止めた感触。


「っ!? なんっ……ヒカリ!!」



伸ばした手は、届かなかった。


鉄製のドアが、何者も拒むように俺の目の前に聳え立ち、煤けたビルはヒカリただひとりしか受け入れない。



「なんでっ、なんでヒカリしか残らねぇんだよ!!」


残ると思っていたリュウに無理やり引っ張られ、俺は必死に手を伸ばし続けた。閉ざされたドアに。見えもしない、ヒカリに。


届くと、触れられると。


ただ空気を切るだけのその行為は、虚しさと絶望しか感じさせないにも関わらず。


絶えることなく、ビルが見えなくまるまで。


俺は手を、伸ばし続けた。