僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「……ユナと祠稀じゃ話が違う」


言ってる意味が分からない。


近付くサイレンの音に、不安と焦りと苛立ちが同時に襲って、気が狂いそうだった。


「ユナがたまに家に帰るのは、リハビリなんだ。それができるのは、俺がユナの両親に1度のチャンスを与えたからだよ」

「……チャンス?」

「俺はユナの両親にもう虐待するなと忠告したんだ。了承もしてもらった。だからユナは、自分の足で家に帰る訓練をしてるの。ユナ自身が、家族の再生を望んでるから」


――まさかと、思った。


俺以外は全員ビルを出たことを確認しながら話すヒカリから、目を逸らすことができない。


「これは、俺が売った喧嘩だ」


見開いた目に映るヒカリは真剣そのもので。その偉大にしか感じられない姿は、すぐにぼやける。


「これが答えなら、俺は、祠稀を家に帰すことはできない」


……親父に、忠告したのか?

いつ?

いつだよ……なぁ、ヒカリ。


「俺は祠稀を守るって、決めたから」


もういい。
もう、いいよ。


あんな腐った奴から、俺を守ろうとしてくれただけで。それだけ充分だよ。


この場所があるだけで。その事実だけで、もう。