僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ




限界なんて、とうに越していた。


親父を初めて殴り返した日、階段の柵の隙間から見えたふたりの顔には痣があって。


俺が夏休み中帰らなかったから。俺のせいで、暴力の矛先がふたりに向かったのに。


だから、親父を殴ったのに。


ふたりは俺を止めて、もう、わけが分からなかった。


親父に殴られるためだけに帰ることも。


その理由である母さんと枢稀を、なんで俺が守らねばならないのかと。


誰も知らないのに。俺が勝手にそうしてるだけなのに。


それでも、それでも。昔からひとりでそうしてきたから。


今さら捨てることなんて、できなくて。


でも、でも、もう……



「助けて、ヒカリ……」



ひとりでなんて、生きていけない。



「助けるさ。だから、大丈夫だよ」



でももう、遅い。何もかも。


分かるだろ。
聞こえるだろ、ヒカリ。



パトカーのサイレンが、すぐそこまで来てる。