「祠稀を、心配してたよ」
淡々と言う彗に、マグカップを口へ運ぼうとした手が止まってしまう。
凪が作ったココアを飲むことに抵抗を覚えた。
遅くに帰ってきた俺に対する嫌味でもなく、他人事のように話されたわけじゃないと分かっていたから。
「……俺? なんで?」
ココアの変わりに煙草を取り出して火をつけると、突き刺さる視線。目を合わせると、彗は真面目な顔をしていた。
……ごまかそうとした俺に、怒ってんの?
「お前はホント、凪中心だよな」
「……そんなことない」
そうだと思うけど。
「まあ、心配かけてんなら悪かったよ」
納得がいかない。答えになってない。
そう言いたげな彗に口の端だけ上げて答えると、彗はテーブルに伏せて顔だけ俺に向けた。
「なんだよ」
見つめてくるだけで何も言わない。おかしくなって笑うと、彗は小さく口を開いた。



