「だから帰る! 我慢なんて、今まで死ぬほどしてきたんだよ!」
「それはひとりの時だろ!!」
ヒカリの腕を振り切ろうとしたけれど、すぐに押し返された。
怒鳴られたのは初めてで。
自分に怒りを向けるヒカリなんて初めてで。
俺は思わず、止まってしまった。
見上げれば、怒っているはずなのに。闇夜に煌めく月のように、金色の瞳は淡い光を纏って、揺れていた。
「もう、ひとりじゃないのに。我慢する必要があるの?」
聞きたくない。
掴まれた腕に、力が入らない。
俺は進むべきなのに、1歩後退してしまう。
「本当は、どうして欲しいのか、あるでしょう」
知らない、知らない、知らない。
本当の気持ちなんて、知らない。
「言っていいんだよ、祠稀」
知らない知らない知らない。使い方も言い方も、止まらない涙の理由も。
「祠稀っ!!」
タ ス ケ テ



