「俺は……ヒカリみたいになれない」
涙なんか流さなくたって、分かっていたのに。
いざ口にすると、自分はどうしようもなく子供で、無力だと思い知らされる。
「俺が帰れば、威光は守れるんだよ」
子供で、無力でもいい。
分からなくても、今自分ができることを精いっぱいやるしかないんだ。
もがいて、足掻くことしかできない。
「俺が帰れば、母さんは殴られずに済む!!」
俺だけでいい。
俺だけで。
俺が体を差し出せば、それで全部納まるんだから。
守りたい。
守る価値があるのか?
それでも守ってみたい。
俺は守られなくてもいいから。
親父を初めて殴った日。もう二度と帰らないと決めた。
だけど。
母さんが心配で。枢稀は大丈夫だろうかと、不安で。
憎いのは親父だけなんだ。母さんも、枢稀も、好きじゃないけど。
俺がいなくなったら、誰が親父の暴力を受けるんだよ。
あんなおぞましいことを、この身で充分知ってるのに。
俺ではない他の誰かに向けられて、喜べるもんか。



