「はははっ! アイツ、マジで何様なんだ。俺のこと、ずっと縛りつけたいんだよ。一生、飼いたいんだ。早く飽きてくんねぇかな。早く、死んで……」
「祠稀!!」
一度大きく揺さぶられて、俺はやっとヒカリと目を合わせた。
「大丈夫だから。大丈夫だよ、祠稀」
「……大丈夫じゃねぇよ」
ボロッと、大粒の涙がひとつ零れる。
肌を伝うことなく床に落ちたそれは、恐怖そのものだった。
「大丈夫なんかじゃねぇよ!!」
「……祠稀」
終わりだ、何もかも。
親父に目を付けられたら、お終いだ。いつかこうなるかもしれないと、分かっていたのに。
それでも俺は、
この場所を失いたくなかった。
「祠稀!?」
勢いよく立ちあがって、階段に向かった俺の後ろから、ヒカリがリュウに何か言って、追いかけて来るのが分かる。
無我夢中で階段を下りて、足が縺れそうになるのを耐えて、ビルの入り口まで走った。
けれど、寸でのところでヒカリに止められたから、俺は暴れた。
「離せよ!」
「どこに行く気なの!」
「帰んだよ! 家に帰る!!」
ヒカリは入口の取っ手に必死に手を伸ばす俺の前に立ちはだかって、喚く俺の体を押し退けようとする。



