「どこぞの親父が、捜索願出してきたんだよ! 威光を名指しして、威光の奴に誘拐されたんだって!」
「――…」
初めて、死にたいと思った。
でもすぐに、殺したいに変わり、怒りが爆発するように溢れては、消えた。
俺の感情はいつもそうだ。どんな感情でも、一時的ですぐに消え去る。
そんなものは無意味だとでも言うように。諦めろと言うように、消えていく。
―――親父からは逃げられないんだと、言ってるように……。
「は……はは……何、してくれてんだアイツ」
そこまでして、俺という玩具を手放したくないのか。
壁に寄りかかって、ズルズルと腰を落とす。そのままうずくまって、行き場のなくした感情に吐き気を起こしていた。
「……祠稀?」
ドアの開く音に顔を上げて、自分でも変だと感じながらも、部屋から出て来たヒカリとリュウに笑った。
「どこぞの親父って、誰?」
「……、」
「なあ……日向って名字の親父だろ? 中年のオッサンだろ? 涼しい顔して、威圧的な態度とるくせに、玩具を目の前にすると興奮する、汚い大人だろ? なあ、そうだろ?」
「祠稀……っ」
しゃがみ込んだヒカリが俺の肩を掴んでも、笑いは止まらなかった。後から後から込み上げる笑いがおもしろくて、また笑う。変な連鎖にはまった。
ヒカリの目を、見れない。



