僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「警察が、ヒカリを探してるって」


ザワリと、得体の知れないものが背中を這う感覚に、俺の足はピタリと止まった。


外観はボロいけれど、中は普通のマンションとなんら変わりはない威光の本拠地。5階以外はほぼ使ってないと言っていいほど、静寂なビル。


それなのに、3階に上がってから聞こえた微かな話声に、俺は足を止めてしまった。


コンビニから帰ってきて、ビルに入るまではいつも通りだったはずなのに。奥の部屋に灯りが点いてるのに気付いて、近付いてしまったのが、失敗だった。


……警察が、なんでヒカリを……。


ドアの奥から聞こえるのは、リュウの声だけ。きっとヒカリがいるんだろうけど、俺はじっとして、動けずにいた。


「今日の仕事相手に、言われた。警察が威光を探してるぞって。そんなわけあるか、警察は味方のようなもんだって言ったんだよ。それなのに……」

「……威光の仕事に文句はないけど、俺のしてることが問題なんだ?」

「……未成年誘拐ってことらしい。っでも! 今まで何も言われなかったのにおかしいだろ!」

「落ち着きなよリュウ。俺らは誰に逆恨みされても、おかしくないでしょ」

「この街で威光に逆らおうとする奴はいねぇだろーが!」


ヒカリの冷静な声とは反対に、リュウは声を張り上げる。俺は、体中が震えていた。怒りじゃない。


どこまでもおぞましい、恐怖。