僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「家のことが気になるなら帰ればいいのに」


危うく吹き出しそうになった水を、ゴクンと音を鳴らして呑み込む。


そのままヒカリを見ると、呆れてるような、心配してるような、微妙な表情をされた。


「はぁ!? いきなりなんだよ!」


……だから、なんだよ! そのマズイもんでも食ったような表情!


「俺はいつでも相談に乗るけど。ま、決めるのは祠稀だから。俺が口出すことじゃないかなー、なーんて」


足に絡みつくユナの頭を撫でるヒカリは、きっとなんでもお見通しで。そんなことは知っていたけど、いざ話題にされると、口ごもる他どうしようもない。


「俺は知ってるよ? 祠稀が守りたいもの」

「……自分の命だし」

「ぶあっははは! 何それ! 命からがら逃げたみたいな顔!」

「っ祠稀ダメ! ヒカリ殴っちゃダメー!」


ゲラゲラ笑うヒカリに掴みかかろうとする俺を、ユナが必死に止めてきて、俺は自分の顔が赤くなるのを隠すのに必死だった。



――憎しみが、消えたわけじゃない。


でも守りたいと思うものは、あった。


ヒカリが守る威光と、ずっと昔からのもの。


一度捨てようとしたものを、もう一度。今度は違う形で、守ろうかと思っていたんだ。


平和に、穏やかに。時にはやっぱり、親父のような大人に憎しみを感じたけれど。


きっと前に進めると、そう思ってた矢先の出来事だった。


その日は突然、訪れる――……。