「祠稀。強さは力だけのことじゃないよ。力でも、権力でも、金でもない。……さて問題ですっ。本当の強さはなんでしょう!」
背を向けていたヒカリがくるっと振り返る。俺は雨に触れた睫毛を気にも留めず、口を噤んだ。
……間違ってしまったら、ヒカリに捨てられないかと、心配で。
黙る俺の心の内なんか、ヒカリには筒抜けで。ふふっと、あやすように笑われる。
「捨てないよ、祠稀。絶対に、見捨てたりしない」
「……」
「俺はね、守り切ってから死ぬって、決めてるから」
「……守る?」
それが答えかと思ってヒカリを見つめると、また笑われた。
「答えは、覚悟だよ。本当の強さは、覚悟」
……覚悟?
ヒカリはフェンスに手をかけて、下界に広がるネオンを見下ろしながら話し続ける。
「人はね、守るべきものがあって。それを、守る覚悟があって。初めて強くなるの。俺の、勝手な意見だけどね」
「……ヒカリの、守るべきものって何」
勝手な意見なんかじゃない。
ヒカリの言葉は、いつも俺の中心を激しく揺さぶる。



