僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「……っ殺したい、消えてほしい、あんな奴、死ねばいい…っ」



憎しみだった。


俺が、威光の仕事をするたび感じた感情は。


ヒカリはただ純粋に、汚い大人に怒り、俺やユナのような子供を救って癒したいはずなのに。俺は、ヒカリに憧れて、ヒカリのようになりたいだけなのに。


俺の心の奥底は、汚い大人たちに対する憎しみでいっぱいだった。俺は、俺みたいな奴を救いたいわけでも、癒してあげたいわけでもないんだ。


親父に見える大人たちに、復讐していただけ。


憎くて、憎くて、消えてほしくて。


できることならこの手で殺してしまいたいと思うほどに、憎んだ。


「……力が欲しい。誰にも何にも言われないほど強い、力が」


きっと俺は、自分で思ってるよりも、もっと弱い。


この憎しみが消えるなんて思えない。だから、力が欲しい。強くなりたい。


「もう充分、強いと思うけどなぁ」


ポンポンとあやすように背中を叩かれ、俺はヒカリの服をいつの間にか握っていたことに気付いて、慌てて離す。と、ヒカリが微かに笑う声が聞こえた。


「祠稀は死にたいって思ったこと、ないでしょう」

「……あるわけねぇじゃん」


1歩後退して、手の甲で口元を押さえながら鼻を啜ると、ヒカリは雨に濡れた髪を耳にかけ、柔らかく微笑む。


「生きようって思うのも、ひとつの強さだよ」


よく意味が分からず返答をせずにいると、ヒカリは小雨を受けながら屋上を歩き出す。