僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「なんだ。怒ってるんじゃなくて、悲しいのか」


ポツ、ポツ、ポツポツと、小さい円を作ってコンクリートが色を変えていく。


空気が湿り気を帯びて、俺はそれに呼応するように、ゆっくりと顔を上げた。


「悲しいんだね、祠稀」


瞳いっぱいに映った金色の目は、細くなってもなお、俺を捉えていた。


静かに流れた泪は、すぐに雨と混じってコンクリートに落ちる。


俺はぐっと眉根を寄せ、歯を食い縛ったのに。ヒカリは1歩近付いて、俺の背中を抱き寄せた。


「言ったでしょ。俺に、強がりは無駄だよって。……泣きたいなら、泣けばいいんだよ」


ヒカリの香水が香る距離で、頭上から聞こえる声に耳を傾けて、俺は力なく首を振った。


「いやだ」

「……どうして」


いやだ、泣くなんて。格好悪い。


悲しいとか寂しいとか、つらいとか。
そんな感情は俺に必要ないんだ。



「俺は、強くなりたいんだよ……!」


ひとりでも生きていけるくらいに。
家族なんてもの、必要ないくらいに。