僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「お前、家にたまにしか帰ってこないで……夜に、何してんだ」


その言葉に、俺は一瞬息をするのを忘れた。


夜に、何してる? なんで、そんなこと……。


「帰ってくるだろ、祠稀。この家にだよ」

「……は? いきなり何言ってんの?」


鼻で笑ってみたけど、枢稀は未だ気絶する親父を見やってから、俺を真面目な表情で見てくる。


心臓の音が、なんでかうるさい。


背筋が、まるで根性焼きをされた時みたいに、ヒヤリとする。


「帰ってこねぇよ……こんな家、もう二度と帰ってくるか」


振り絞るように、拳に力を込めて紡いだ言葉は、微かに震えていた。


それでも枢稀の表情は真面目そのもので。発せられた言葉に、俺は目眩を起こしそうだった。


「逃げ場なんて、ないよ。あの人から逃げられると思うな」


「……っうるせぇな! 逃げてなんかねぇよ! テメェは黙ってご機嫌取りでもしてろっ!!」


シューズラックの上にあった花瓶を叩き落し、ガラスの割れる音を背に、俺は家を飛び出した。