――――…
「すぐ終わるから」
「おー。しかしいつ見ても、デケェ家だな」
夏休みも終わりに近づいてきた、ある日の夕方。俺はまた私服を交換しに、家までリュウの車で送ってもらっていた。
俺は関心するリュウに「威光のビルには負けるけどな」と返して、門を開けて敷地に入る。
ガチャンと玄関のドアが閉まった音に反応するのは、いつも親父だ。
俺が2階に上がって、部屋に入ったところで聞こえる足音。
俺はもうそれに慣れていて、クローゼットから素早く用意していた服を、気回していた服と交換し、バックに押し込んで部屋を出た。
その瞬間に親父と鉢合わせるのはいつものことで、俺はすぐに部屋のドアを閉める。
窓から飛び降りて家を出ていると気付いた親父は、ご丁寧に鉄格子を付けてくれた。
こうして素早く出ないと、本当に鳥の籠になってしまう。
「どけよ」
降りられねぇじゃん。そう言う前に飛んできた拳を、俺は見切れたのに、避けなかった。
いつもなら床に倒れるのに、俺はよろめくだけ。親父はそれに驚いたのか、胸ぐらを掴んで力任せに引き寄せてきた。
「! げっ……」
マジかよ……!
―――――ダダダダンッ!!
ゴッ、と最後に鈍い音を立てて、俺は階段から転がり落ちた。
殺す気か……。
とっさにドラム缶型のバッグで頭を包んだからよかったものを。



