「強くなれよ、チカ。誰よりも」
「……なるよ。なったでしょ?」
その言葉に、出逢ったばかりの弱っちぃチカを思い出して、思わず笑ってしまう。それに気付いたチカは不服そうに口を尖らせた。
「でも僕は、祠稀が1番じゃなきゃ嫌なんだ」
「はいはい、そりゃどーも」
フードの上からぐしゃっとチカの頭を撫で、頭を下げる他の仲間に軽く手を上げてからネオン街を出る。
「……強くなってもらわなきゃ、困るっつーの」
煙草をふかしながら呟いた言葉。それは願いでもあり、祈りでもあった。
……強くなれよ。俺よりもっと。
誰よりも、何よりも。そうでなきゃ何も守れない。何も救えない。
この狂った世の中と腐った大人たちに、屈服するなんて冗談じゃない。
「……狂ってんのは、俺か」
独白は雑踏によって掻き消される。
だけどもう、引き返せないことは分かっていた。
マンションへ向かう足が、重い。



