夏休み中、俺は威光のもとで過ごした。
その日々の中で、俺はこの街がいかに汚れているか、どれだけの卑劣な大人たちがいるのか、それに毒される子供が山ほどいることを知った。
「祠稀……」
威光の本拠地であるビルに入ったところで、後ろから小さな声をかけられる。
振り向くと、いつも眼帯をしているユナが立っていた。
ユナは俺より1個上の中3だが、年上というより年下という感じだ。
「……バカ。血ぃダラダラ出てんぞ」
駆け寄ってユナの細い手首を掴むと、夏だというのにゾッとするくらい冷たかった。
微かに震えるユナは何も言わず、俺も黙ってユナの手を引いてビルへと入る。
……ユナは、親に言われた通りの金額で、自分の体を売っていた。
お金を手にすれば、喜んでくれた。手にできなければ、殴られた。
段々と求められる金額が増えてきて、1日では稼ぎきれないと困っていた時。ひとりの男に声をかけられたという。
もともとユナは綺麗だと、女を買う奴らの間では有名で、そこに目を付けられたユナは、専門の店に招かれたらしい。
毎晩毎晩、ひと癖もふた癖もある見知らぬ男たちに抱かれる気持ちなんて、ユナにしか分からないんだろう。



