「人によって何が悪いか何が正しいかなんて、360度違うってことだよ。いろんな人がいるから。それを分かって、自分の非も、誰かの非も、認めてあげるの。俺は1番、それが楽」
「……なんでいきなり、そんな話すんだよ」
「んー? なんでだろうね。否定して、憎んでばっかって、しんどいなぁと。ふと思って」
……ふと思ったにしては、ぽんぽん言葉出過ぎなんだよ。
「ヒカリって、ジジくせ」
「えー! せめて兄貴っぽいって言ってくんないかなぁ。俺、祠稀のこと大好きなのに」
「は? キモッ」
捻くれた言葉を言ったのに、ヒカリは怒るでもなく、優しく微笑む。
こういう時のヒカリは決まって長いブルーブラックの髪を耳にかけたあと、俺の頭をぐしゃっと乱暴に撫でるんだ。
「やめろっ、バカか!」
「優しい子には、いいこいいこー!」
「別に優しくねーだろ!」
頭の上に置かれた手を払うと、ヒカリはきょとんとする。
だけどすぐに「照れ屋!?」とケラケラと笑うヒカリが、本当の兄貴だったらよかった。



