僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「人によって何が悪いか何が正しいかなんて、360度違うってことだよ。いろんな人がいるから。それを分かって、自分の非も、誰かの非も、認めてあげるの。俺は1番、それが楽」

「……なんでいきなり、そんな話すんだよ」

「んー? なんでだろうね。否定して、憎んでばっかって、しんどいなぁと。ふと思って」


……ふと思ったにしては、ぽんぽん言葉出過ぎなんだよ。


「ヒカリって、ジジくせ」

「えー! せめて兄貴っぽいって言ってくんないかなぁ。俺、祠稀のこと大好きなのに」

「は? キモッ」


捻くれた言葉を言ったのに、ヒカリは怒るでもなく、優しく微笑む。


こういう時のヒカリは決まって長いブルーブラックの髪を耳にかけたあと、俺の頭をぐしゃっと乱暴に撫でるんだ。


「やめろっ、バカか!」

「優しい子には、いいこいいこー!」

「別に優しくねーだろ!」


頭の上に置かれた手を払うと、ヒカリはきょとんとする。


だけどすぐに「照れ屋!?」とケラケラと笑うヒカリが、本当の兄貴だったらよかった。