僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「うわっ! どうしたの祠稀! ボロボロじゃん!」


威光の本拠地、煤けたビルの最上階に行くと、俺に気付いたヒカリが駆け寄ってくる。


俺は「何が」と素っ気ない返事をしながら、ソファーに座りこんだ。


「何がって言うには、ちょっと格好悪いかなぁ」

「は?」


頬には殴られたあとがあるだろうけど、それだけでボロボロだとか、格好悪いと言われるのは癪だ。


そう思ったから睨んだのに、ヒカリは自分の頭を指さして笑う。


「頭に葉っぱ付いてるよ」

「!」


俺はとっさに髪をぐしゃぐしゃにして、落ちてきた2枚の葉っぱに心底恥ずかしくなった。


「ぶははは!! 超ウケる! 無邪気か!」

「2階から樹に飛び降りたんだよ!」

「えぇ!? 野生児!!」


げらげら腹を抱えるヒカリに、近くにあった雑誌を投げつける。するとヒカリも「このー!」とクッションを投げてくる。


空き缶や灰皿が行き交う光景を周りにいた奴らは笑って、リュウは「汚すなよ!」と怒ってくる。


威光に入ってから2日。俺の居場所はもう、ここだった。


それから学校に行く日もあれば、行かない日もあって。そんな日や休日は、この煤けたビルで過ごしていた。威光の仕事も少しずつ手伝うようになって、鍛えてもらったりもした。


たまに私服を交換しに定期的に家に帰って、そのたびに親父に暴力を受けたけど、なんてことなかった。


毎日が、ただつまらない、我慢していただけの日々がものすごいスピードで過ぎていく。


俺にはもう、ここだけあれば、ヒカリだけがいれば、充分だと思っていた。