「うわっ! どうしたの祠稀! ボロボロじゃん!」
威光の本拠地、煤けたビルの最上階に行くと、俺に気付いたヒカリが駆け寄ってくる。
俺は「何が」と素っ気ない返事をしながら、ソファーに座りこんだ。
「何がって言うには、ちょっと格好悪いかなぁ」
「は?」
頬には殴られたあとがあるだろうけど、それだけでボロボロだとか、格好悪いと言われるのは癪だ。
そう思ったから睨んだのに、ヒカリは自分の頭を指さして笑う。
「頭に葉っぱ付いてるよ」
「!」
俺はとっさに髪をぐしゃぐしゃにして、落ちてきた2枚の葉っぱに心底恥ずかしくなった。
「ぶははは!! 超ウケる! 無邪気か!」
「2階から樹に飛び降りたんだよ!」
「えぇ!? 野生児!!」
げらげら腹を抱えるヒカリに、近くにあった雑誌を投げつける。するとヒカリも「このー!」とクッションを投げてくる。
空き缶や灰皿が行き交う光景を周りにいた奴らは笑って、リュウは「汚すなよ!」と怒ってくる。
威光に入ってから2日。俺の居場所はもう、ここだった。
それから学校に行く日もあれば、行かない日もあって。そんな日や休日は、この煤けたビルで過ごしていた。威光の仕事も少しずつ手伝うようになって、鍛えてもらったりもした。
たまに私服を交換しに定期的に家に帰って、そのたびに親父に暴力を受けたけど、なんてことなかった。
毎日が、ただつまらない、我慢していただけの日々がものすごいスピードで過ぎていく。
俺にはもう、ここだけあれば、ヒカリだけがいれば、充分だと思っていた。



