―――ゴッ!
「どこに行ってたんだ、祠稀」
2日ぶりに家に帰ってきたら、コレだ。
俺は殴られた口元を拭って、よっぽどストレスが溜まってたんであろう親父を睨み上げる。
自分の部屋に荷物を取りに来ただけだってのに。
気付かれたら殴られるのが分かってて、足音を忍ばせなかった俺もどうかと思うけど。聞きつけて荒々しく階段を上ってきた親父も、どうかと思う。
「どこに行ってたと聞いている」
「どこだっていいべや」
間髪容れずに答えれば、飛んでくる短い足。
本棚に倒れ込むと、上からバサバサと何冊か本が落ちてくる。それをうざったく思っている間に、親父に何発も何発も拳を体に打ち付けられた。
――無我夢中。
そんな言葉が今の親父にはよく似合う。
目の前にある玩具に興奮してる。そんな感じだ。
俺は黙って目を瞑って、親父の体力が限界になるのを待っていた。



