僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



……リストカット……だよな?


その名は知ってたけど、生で初めて見たから疑ってしまった。


ヒカリは足に絡まるその子の頭を撫でてから、再び話し始める。


「俺らが大人になっても、また新しい子供がやってくる。この街には、絶え間なく。それを狙う奴らも増え続ける。俺たちはそれを、見過ごせなかったんだ」

「……」

「この子……ユナもそうだよ。親に、性的虐待されて。この街で売春させられて……まあ色々あってね。俺が買うふりして、連れてきたの」


ユナと呼ばれた子は、ギュッとヒカリの脚に抱きついて、顔を埋めた。


ヒカリはそれを見てから、俺に視線を移す。


「祠稀は、ここに何を求めてきたの? 真夜中に輝くこの街に、少しでも惹かれたからでしょう? ……でもこの街は、嘘ばかりだよ」


俺は何も、返せなかった。


家よりマシだと思ったのは確かだけど。


それは、何かを求めたということで。


何かに、惹かれたということになるんだろうか。