僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「ヒカリッ!」


突然、屋上のドアが大きな音を立て、開け放たれる。


「居場所、突き止めたって!」


……誰の?


ドアから出て来たひとりの若い男を見つめながら、不思議に思う。そのままヒカリに視線を移すと、ドクンと脈が波打った。


「そう……じゃあ、行こうか」


センター分けの前髪を風に靡かせて、ヒカリは確かに微笑んでいたのに。一瞬で変わった雰囲気は、怒りを纏っていた。


まるで、歩き出したヒカリの背中を追えと言っているように、激しく鳴る鼓動。


ジリッと、1歩踏み出すか悩んで、遠ざかるヒカリを見つめる。


この1歩を踏み出さなければ、俺は一生、何も変わらない気がした。


何かが変わる。


家にいるより100倍マシな何かが、見つかる。そう思ったら、俺はヒカリの後ろ姿を追いかけていた。


周りに、大勢の人間を従わせた、ヒカリの後ろ姿を。