「僕、納得いかない」
夜空からチカに視線を移すと、目深く被ったフードから不機嫌そうな顔が垣間見えた。
「祠稀がシメないと、こいつらまた調子に……」
ゴッ!と鈍い音と悲痛な叫びが、街灯のない路地裏に響く。横目には、チカの嬉しそうな顔。
「お大事に」
力任せに蹴飛ばした男を見下ろして言うと、どこから舞ってきたのか、男のそばに1枚の椛が落ちた。
真っ赤で、椛なのか血なのかすぐに分からなくなったけど。
「げほっ……」
なんだ、まだ意識があったのか。
そう思って足元に転がる男を冷ややかに見下ろすと、男は青く腫れ上がった片目を瞑りながら、血の滲む唇を開いた。
「お前ら……ホントに…あの…」
続きを言う前に、チカが笑って言葉を遮った。
きっと何度も聞いた言葉だから、またかよ、っておかしくなるんだ。
俺は煙草に火をつけて、男が言いたかったであろう言葉を発する。



