僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「違うよ。自分の殻に、閉じこもる子たち」

「……」

「少年は~、まさに典型的だねっ」


ふふっとおかしそうに笑うヒカリに、俺は腹を立てるわけでも、毒気を抜かれるわけでもなかった。


じっと見つめる俺に微笑むヒカリの目は、金色で。嘘くさい街の明かりよりも、輝いている気がした。



「……つぅか、少年少年って、うるせぇ」

「えー。だって名前知らないもん」


きょとんとして、でも、わざとらしく言うヒカリ。


きっと俺が自分から名乗らなきゃ、ずっと少年と呼んでくるんだろう。


俺が自ら殻を破らなきゃいけないんだということは、悔しいようで、そうでもない。


「祠稀」

「……シキ? へぇ、綺麗な名前だね」

「俺は、嫌い」


嫌いだ、こんな名前。親父の欲に塗れた、吐き気のする名前。


嫌いだって言ってんのに、ヒカリは「シキかぁ……シキ、シキ」と何回も呼ぶ。


何回も、何回も、とても嬉しそうに。



――俺は、誰にも何にも興味なんてなくて。でもヒカリは、俺が初めて興味を持った人間だった。


関わりたい。


そう、思ってしまったんだ。