僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


―――…


「適当に座って」


ヒカリは髪を束ねながら言って、俺は目の前の光景に少し驚いた。


「ヒカリィ、まーた拾ってきたのかよ!」
「何、新しい子?」
「どんだけ増やすんだかっ!」


若い男女が、部屋のあちこちで笑っている。ヒカリの姿を見つけた数人は声をかけてきて、ヒカリはやっぱり笑顔で答えた。


「えー、いいじゃん別に。仲良くしてね!」


……なんだ、ここ。


『今日、泊まるとこがないなら、俺の家においでよ』


沢村のことがあったから警戒したけど、行く場所もあてもなかったのは確かだったから、ヒカリについて行った。


路地裏から少し歩いて着いた場所は、煤けた廃墟ビル。


まさか、こんな何年も使われないまま放置されたようなビルが、ヒカリの家?


そう思いながら階段を上がって、ある一室のドアを開けた先には、十数人の人影があった。


無造作に置かれたテーブルやソファーは、ビルと同じで決して綺麗とは言えず、テーブルや床には、缶ビールや一升瓶、灰皿や様々な種類の煙草が置かれている。


……ホント、なんだよここ。リビング?にしては変だし、きたねぇ。


壁でもぶち抜いたんだろうか。明るいとまではいかないが、天井につけられた間接照明が、広い部屋を照らしている。


隅の照明がチカチカと明滅を繰り返すのを横目で見ていると、ヒカリに声をかけられた。