「……っ」
「ぅ、おっ! 美少年だなぁ〜!」
両手をポケットに突っ込んだまま、しゃがみ込んで俺の顔を覗くその人に、目を奪われた。
……美少年は、アンタだろ。
肩まである長髪は、光の当たり具合でブルーに変わり、俺を見つめる瞳は、金色に輝いていた。
「ねぇ、家から飛び出してきたの?」
先ほどまでの声色とは変わって、穏やかに言葉を発するその人の口にはピアスと、耳からチェーンが繋がっている。
「……アンタ、誰」
「俺? 俺はぁ、ヒカリ。光って書いて、ヒカリ! 24歳だよ。 よろしく、少年」
とてもじゃないが24歳には見えないヒカリという男は、無邪気な笑顔を見せた。
―――これが、俺とヒカリの出逢いだった。
14歳と、24歳。ひと回りも違うと言うべきか。ひと回りしか違わないと言うべきか。
あまりにも近くなり過ぎて、歳の差の感覚が分からないけど。
俺がこの世界で唯一、尊敬する人だった。



