僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「あ! おい! 待てコラ!!」


俺は携帯を見ていた沢村の前から、走って立ち去った。


湧き上がる怒りは確かに感じるのに、無性に虚しく感じるのはなんでなんだ。


走って、走って、目的もなく走った。


人気の少ない場所まで来て、狭く暗い路地裏に、隠れるようにうずくまった。


ズキズキと、服が皮膚に触れる度に感じる痛み。


「……うるせぇ……」


微かに耳に入る笑い声に、両手で耳を塞いだ。


人の笑顔が嫌いだ。馬鹿にされてるようで、腹が立つから。


人の笑い声が嫌いだ。何が楽しいのか理解できなくて、虚しくなるから。



……俺の居場所は、どこなんだよ。


どこでもいい。
どこでもいいのに。



「なーに、泣いてんのぉ~?」


間延びした声に目を開けると、俺の足元に影が落ちていた。


ゆっくりと顔を上げたけれど、俺を見下ろす人影は、月明りの逆光のせいでよく見えない。