僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



◆Side:祠稀



「弱ーっちぃの」


色とりどりに輝く街の路地裏で、パーカーのポケットに手を突っ込みながらチカが笑う。


遠くから響く、ネオンに照らされて笑う声とチカのそれは、まるで別ものだった。


「つまんない。ねぇ起きなよー。つまんなーい!」


自分の足元に転がる負け犬を足先で突つくチカに、周りにいた奴らは笑う。


……ほんと、弱すぎ。


腐敗した木箱の上に胡座をかいてた俺は、短くなった煙草を地面に捨てて立ち上がる。


「行くぞ」


一声発しただけなのに、ピリッと空気が変わる。


……ひとりだけ除いて。


「えぇー……。もう行くの? 縄張り争いなのに。喧嘩ふっかけられたのに」

「……チカ」

「それに祠稀、1回も混ざってこなかったじゃん」


不満げな表情を隠しもせず、文句を垂れ流すのチカに溜め息をつくと、周りの奴らが焦り出す。


面倒になって空を仰ぐと、決して綺麗とはいえない雑居ビルに四角く切り取られた、黒い空が見えた。