僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「……は?」

「だからぁ、お前みたいに親に見離されてぇ、見捨てられて? まあどっちでもいいけど。この街に逃げてくる奴は、山ほど……」

「俺が捨てんだよ!!」


張り上げた声に沢村は目を見開き、やがてクッと喉を鳴らした。


「ああ、はいはい。そうだな、間違って悪かったよ。お前が捨てるんだよなぁ~」


ふざけんな。

誰が、誰が……っ!


必要ねぇと思ってんのは、いらねぇと思ってんのは、俺だ!


俺が捨てられるんじゃねぇ。俺が、捨ててやんだよ。


あんな、腐った家族を。


「とりあえず、名前教えてくんねー? 売りに出す時必要だからぁ。あとー」


ひとりでべらべらと話し出す沢村の言葉は耳には入っても、頭には入らなかった。


……なんだ。ここも腐ってんのか。


俺は、ここに何を求めてたんだ。


家より、マシ? どこが。沢村みたいなやつに頼るなんて、御免だ。


俺は、ひとりで生きる力が欲しいんだよ。