「このババァと、一晩遊べば金入るけど、どうする?」
そう言われて何を言ってるのか分からないほど、バカじゃない。
「……そいつと、寝ろってことかよ」
そう言うと、似合わない口笛を吹く沢村。
「理解早い子は俺、好きだよー。お前、美少年だし、高く売れんぜぇ?」
逆援しろって、ことか。
俺の体を売れば、金が入る……。この街はそんなこと簡単にできんのか。
「俺が紹介してやっからさ、入った金の2割、俺によこせばいい」
「……アンタ、いっつもそんなことしてんの?」
「はぁ~? 何、まさかいい子ちゃん? 使えるもんは使わなきゃ損だと思わねぇ?」
知るかよ。俺に使えるもんなんてねぇし。
どうしようかとぼんやり考えていると、沢村は煙草に火を点けて、勝手に話し出す。
「俺ぇ、お前みたいなガキ、よく見かけるぜ? だから俺、声かけてやってんの」
「……俺みたいな?」
いるか、そんなホイホイ。俺みたいな……。
「そ。お前も、親に見捨てられたんだろ?」
ヘラヘラとだらしなく笑う沢村の言葉に、頭を鈍器で殴られたような衝撃を受けた。



