僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「……お前、今暇?」

「別に、暇だけど……アンタ誰?」


俺の質問に答えず、舐め回すように俺を眺める男。


「暇なら、ちょっと俺に付き合え」

「は? ……なんだよ」


制服で来たからには補導されるかもと思っていたけど、明らかにコイツは補導員ぽくない。


ホストか何かだろうか。そう思って、俺は黙って見知らぬ奴について行った。



「なあ、金欲しいか?」


連れてこられたのは、薄暗い路地裏で。俺は、沢村と名乗った男を見つめる。


狐のような細い目に、ワックスであちこちに向く茶色い毛先。背はそんなに高くないけれど、醸し出す雰囲気が怪しげだ。


「金欲しい年頃だろ?」

「……別に、あれば助かるけど」


財布、持ってきてねぇし。


俺の答えに満足したのか、沢村は携帯を取り出して、何か見せてきた。


薄暗さに慣れていた瞳に向けられた携帯の光に目を細めながら、俺は画面に映る、ケバいおばさんを見る。