僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「お前には我慢が足りないんだ、祠稀」

「我慢と根性ですよ、父さん」


手触りがいいんだか悪いんだか。俺には分からないブラウンのカーペットに顔を押し付けられたまま、捲られたワイシャツの襟元から、ヒヤリとした空気が背中を這うのを感じた。


それから不自然なほど一か所に感じた、熱い、何か。


「……そうか、根性がないのか」


ゾクリとした。


感じた熱気が、露出した肩に向けられている煙草だと分かったから。


「枢稀、お前がやれ」

「あなた……っ!」


俺は母さんの声に目を見開く。押さえ付けられている頭を少し動かすと、母さんが青ざめて、体中を震わせながら俺のほうを見ていた。


「なんだ」


親父の煩わしそうな声に涙ぐむ母さんは口を噤んで、俺がじっと見ていることに気付いたのか、慌てて顔を逸らす。


そんな母さんを見て、何を勘違いしてるのか親父は鼻で笑ってみせた。


「うぜぇ」


ボソッと呟き、親父と枢稀を見上げる。案の定ふたりは目を見張り、床に横たわる俺を見ていた。


グッと、俺の頭を押さえる親父の手に力が入ったのに笑って、枢稀に話しかける。