キンッと音を立てて、ジッポから揺れ動く火に煙草の先端を向けた。


肺の中に充分吸い込まれるのを感じながら、瞑っていた瞼を開けて、紫煙を吐き出す。


闇夜に溶けた煙の先に、無数に輝く星が見え、俺はすぐにそれから目を逸らした。


「はえーなぁ……」


地面に置かれた花束や煙草を見やり、缶ビールのプルタブを立ち上げる。


垂れる泡をそのままに、もう一度缶ビールを地面に置き、縁に吸い掛けの煙草を置いた。


「今日で、2周忌だってよ。……ほんと……バカだよ、アンタ」


なんで、死んだんだ。


なんでみんなを残して、俺を残して、死ねたんだよ。


アンタが言ったんだろうが。


守り切って、死ぬと。


誰よりも、俺が知ってる人間の誰よりも、アンタが1番死んじゃいけなかったのに。