「……ひとつ聞きたいんだけど」


さっき言っていた。


リーダーの祠稀が捕まったら、何もかも終わると。


威光の存在の意味も、チカが祠稀に救われたのも、他の何人もの子が、威光に、祠稀に救われたのは分かった。


だけど、ひとつだけまだ分からないことがある。


「祠稀は、なんで威光のリーダーなの?」


凪も気付いたのか、チカを見つめる。


チカは浮かんでいた涙が流れそうになったのか、目元を拭い、顔を上げた。


「その話は、探しながらでいい? 簡単になら話せるから」


そう言ってチカは歩き出し、俺と凪もその後に続く。


忙しなく鳴るチカの携帯は、祠稀が威光にとってどれだけ必要な存在かを証明するものに思えた。


だから何度会話を中断させられても、チカは根気強く話してくれたし、俺と凪は黙って聞いていた。



祠稀が、威光のリーダーになった理由を――…。