「……チカ、俺たちを頼って来たんでしょ? 俺と凪は、それを受け入れたんだから。今さら巻き込めないなんて言ったら、怒るよ」

「……言わないよ……ありがとう」


チカは決心したように、席を離れる。俺は「先に出てて」と伝え、急いで会計を済ませた。


ドア1枚隔てた先に出ると、冷たい風が髪を揺らす。


店内の温かさにぼやけていたのか、頭が急に冴え渡った気がした。


「どこを探せばいい?」


外で凪と待っていたチカに声をかけると、チカは携帯に落していた顔を上げる。


「今、あの街を全員で探してるから。威光の本拠地があるんだけど、その場所にもいないみたいで。……どうしよう……祠稀がいなくなったら」

「……」


顔を青くするチカの手を凪が握る。俺は祠稀に電話をかけるけど、繋がらない。


出てほしいと思いながら、頭の隅で、ひとつの疑問が生まれていた。


留守電に切り替わった電話を切って、そのままチカと向き合った。