「……凪、入るよ?」
2回ノックしてからドアを開けると、案の定、凪は真っ暗な部屋でベッドにうつ伏せになっていた。
「……寝るなら布団被りなよ」
ドアを閉めて電気を点けても、ベッドの中心に腰掛けても、凪は動こうとしない。
ふと、無造作にベッドへ放り投げられた携帯が目に入る。画面に映し出されているのは、受信メール。
……連絡取ってたんだ。
当たり前、か……。
ベッドにうつ伏せになる凪に背を向けたまま、俺は部屋を見渡す。
どれもこれも新しくない、使い古された、だけど大切に使ってるんだと分かる物ばかり。
「……凪」
この部屋にいるのは、しんどいね。
言葉を飲み込んだと同時に、ベッドの軋む音と伝わる体温。
腰に回された細い腕が、背中にすり寄る体が、どこにも行かないでと泣いていた。



