ド金髪に睨まれ殺される。
「チューリップってのは色の
多い花だよ。ユリ科ですごく
いい匂いがするでしょう?」
ド金髪無視で行こう。
「へぇ~」
ナル君が黄色のチューリップを取り
ながらにっこり笑う。
ああ、美少年だな。
絵になるぞ。
その絵買に行っちゃうぞ。
水をもうあげてしまったのか
湿った土を見てクスっと笑った。
「ふふっ」
後退しながら、今日も木陰で
馨君を横に眠ってるビューティフル
フェイスの持ち主千治君が薄目で、
チューリップを盗み見る。
何となくその千治君が気になった。
だから、ゆっくりと千治君に近付く。
馨君が優しく笑うと立ち上がって
少し離れた。
「お、おはよっ」
眠そうな目を擦る千治君はもう
悶絶しそうなほどのかっこよさだった。
「・・・ん」
その返事も千治君らしい。
「チューリップ好き?」
花壇のチューリップを遠目に
千治君の綺麗な茶色の瞳が
微かに揺れたのをあたしは
見逃さなかった。
一定の距離を保ったまま、
あたしも腰を下ろした。
どっこいしょっと。
「・・声に出てる。」
げっと思いながら千治君を
ギョッと見つめた。
その瞳はどこか切なげで
あたしではなくチューリップを見てる。

