見えてなかった気がする。
気付いてなかったんだろう。
当たり前だ。
こんな女は初めて会った。
辛い癖に顔に出さない。
苦手なものを苦手だとはっきり言う。
矛盾してるようでしてない。
「あの、聞いてる?」
手をひらひら振るその女が
何故か笑えた。
「な、何故笑う?」
実はとかそんなもん知らねぇや。
それがお前だって思うことにする。
変だ変だっていうのもありだ。
「ねね、委員長!
お疲れ様ー!!」
ナルがムラタを払いのけて
女に抱きつく。
「ぎゃー、この子を誰か・・引き取って
頂きたい。」
真っ青な顔をする変な女。
真面目なフリね。
元々そういの意味ねぇんじゃねか
とか言うのはまた改めてでいいか。
とりあえず、気になることがある。
いや、出来た。
気になることが出来たってわけで、
これからまた顔色を変えるこの女
をじっくり見てやろうか。
そんで、笑ってやろう。
糞つまらねぇ日常にコイツが
居たら相当楽しいかもしれねぇと
思った。
窓から入る風が髪を攫って行く。
興味なんてこれっぽっちも持ってねぇよ。
ただの好奇心ってヤツ。