馨さんまでやってきた。
「日和ちゃん、それ転んだの?」
そういえば、この人たちには言うべきだろうか?
「うん、えへへっ、ドジりました。
超かっこ悪いよね。」
俺はそうは思わない。
あの時のひーちゃんはむしろ・・
「学校前のコンビニでサユリちゃんと
からまれてました。その時、男に転ばされた
のを俺は見ました。」
気付いたら口に出てた。
目を見開くひーちゃんとナル君。
馨さんはどことなく笑ってるが目が笑ってない。
「もっくん!!それは内緒だよ。
言っちゃ駄目だったよ。
なななっ、転んだのは本当にあたしの
ドジなせいだって言ったじゃないか!!」
ナル君がすぐさま動こうとしたのを馨さんが
引き留めた。
「ひーちゃん、内緒にしておく必要がない。」
ひーちゃんはプルプル拗ねた。
「どこだった?」
馨さんがにっこりと笑う。
それはもう笑ってるようで笑ってない。
「俺の見る限りでただのチンピラです。
始末は付けさせてもらいました。」
ひーちゃんを転ばせたのはさすがに
ムカついたからな。
「そっか、それは良かった。
ユウヤ、動くな。」
ユウヤ君がソファーから飛び降りて
扉に向かおうとしてたのを馨さんが
止めるとユウヤ君が罰悪そうにひーちゃんを見た。
「あ、あの、本当にあたしのドジが引き
起こしたことなのですよ!!」
軽く吹っ飛んでたのに、普通なら逆ギレ
ぐらいしてもいいものじゃないか?
それを自分が悪いと思う彼女はすごく
強い子だったと今更気付いた。

