次にその子にあったのは合格発表の日だった。
まさか、会えるとは思っても見なかった。
凛とした表情で掲示板を見るその子は一際、
その場に居る人たちを圧倒していた。
大きくて丸い目も色素の薄いセミロングの髪
もどことなく黒がかっていてストレートでサラサラ
した髪が時々風でふわりと舞う。
小顔で小柄の彼女は誰よりも堂々としていて、
あの子にはどんなに頑張っても敵わないと思った。
その時のあたしはそこそこ頑張ってた。
テストの結果は常に中学でも上位に上り詰め、
家の品格を守るためにも多少無理はしてた。
でも、何でも出来るように習い事はたくさん
やってきたつもりで何をやっても上手くいってた。
そんなあたしが初めて勝てないと思ったのが
その子だった。
瞬き出来ないほどその子が気になってた。
消しゴムのお礼を言いたかった。
もし、あの時消しゴムを半分にしてくれて
なかったらと思うとその子の優しさに感謝
したくて次に会ったら言おうと心に決めて
いたけど、誰もその子に声を掛けれる様子
でもなくてあたしもその場に立ち尽くす
しかなかった。
結局、その日もお礼を言えずにいた。
視線で追って気付いてくれたらと思って
いたけど、その子と目が合うことはなかった。
その日、知ったことだったが主席はダントツの
記録を収めていてで特待生で学費全額免除という
私立のお金持ち学校として待遇が良かったらしい。
そして、桜が咲く季節入学式にその子の
姿を見ることはなかった。
それと同時に主席で特待生制度を蹴ったという
噂が流れていた。
2番目にテストの点が良かったあたしが挨拶
をすることになった。
あたしとその子の大差は大きかった。
それでも、入学式での挨拶をしたせいか
先生たちにも保護者にも一目置かれた。

