大変だ。

「ヘルメットを持ってこねば・・・」

そして、ここでもまた口に出していたらしい。

「ひーちゃん、その妄想癖直せてないね。

俺の知り合いにやっぱり頼もうか?」

死んでも断る。

悪魔2号が満面の笑みを浮かべる。

「結構です!」

今日は厄日だ。

早く帰ってお参りに行かねば、

神社でお賽銭入れて今日が

夢でありましたという願いを

言うんだ。

「ひーちゃん、学校はどうだい?」

またもや、彼は笑う。

あたしを見て何がそんなに愉快なのか。

将又、あたしの顔が面白いとでも

言いたげな。

「面白いよ、随分表情が変わったじゃねぇの。」

だけど、このポーカーフェイスを見破る

なんて貴重な存在だ。

あたしがポーカーフェイスでもここに

居る3人には表情が崩れてることが

丸わかりだから嫌になる。

「だから、ヒヨリを困らせるなって

言ってんでしょうが。」

小声でぶち切れるサユはなんて

友達思いで優しい子なのかしらと

思い感動した。

「ひーちゃん、とりあえずまた

今度きっちり話してごらんよ。」

嫌だよ、その悪魔の微笑みで

ニタリと笑うあんたに誰が

何を・・・・?

予鈴が鳴り響く中、ポンと頭を

小突かれた。

それは何だかこの人の気まぐれ

だと思うけど、その手が実は

優しいことを昔から知っている。