大和さんはにこと笑う、

「貴女のお好きなようにして下さい。

正式に決めるのは貴女が16の誕生日を

迎えてからでも構わないのですから、

焦らず考えればいいです。」

猶予ってやつね。

そういうのは別にいいんだけどね。

でも、16になったら迷うことなく

そういうところに顔を出さないといけないのか。

3月にならなきゃいいのに。

後、10ヶ月しかないのか。

それまでにこの気持ちは確実に固めないと、

あたしがしっかりしてなきゃ駄目だな。

肝心なところ上手く出来ないんだから、

向いてないとは思っても諦めも肝心だよね。

「やめとく。」

せめて、その時が来るまで忘れていたい。

「分かりました。」

星々が煌めく夜。

大和さんの作ったご飯は温かくて美味しかった。

決断するにはまだ早くて、それでも

せめてと留めるような気さえした。

眩しいよ。

どうして、空には手が届かない?

何度もそんなことを聞いたっけ。

そのたび、父さんは代わりに折り紙で

星を作ってくれたね。

父さん、あたしは間違ってないよ。

これで守れるなら立派な娘だって

笑ってよね。

その日が来るまでには女らしくも

大人にだってなって見せるから。