ちぃー君もあたしが持ってきたクッキーを
ボトリと落とす始末だ。
伊織君もケータイをぱちんと閉じて、
目を見開いて、慶詩とユウヤも喧嘩を止める。
「何故、佐藤君?」
ナル君からいい匂いがする。
甘いようなフルーティーな香りだ。
ナル君のハグは慣れてきた。
「だって、ヒヨリンそんなに無心になるほど
佐藤のために・・・」
いや、待て。
それ間違ってるからね!!
「こ、これは違うよ!!
佐藤選手には確かこの間あたしのせいで
委員会の手伝いしてもらったからお礼をと
思っただけのことで・・
断じて、佐藤選手のためではない。」
な、何でこんな言い訳してんだ?
まるで、浮気をした亭主じゃないか!!
「えっ?」
「あたし、佐藤選手はいい人だと思うが
ナル君が思ってるような感情はない。」
恋愛感情ね。
あたしには必要ないもの。
「それって性的な意味で?」
何てことを聞いちゃうんだこの子は!!
伊織君のせいで可愛いナル君が・・・
「恋愛感情ってやつですよね?
そ、そ、そ、そういう意味の分からない
ことは全く持ってないですよ。」
顔から火が噴きだしそうだ。
もう、苛めだ!!
これはあたしへの嫌がらせなの?
「ホントにホントにホント?」
ナル君、近い!!
鼻と鼻がくっつきそうで・・・
「ぐはっ」
鼻血が噴出した。
もうエンジェルスマイル勘弁して下さい。

